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【参加記あり】「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第13回「『宗教的なもの』から広がるもうひとつのグローバル・スタディーズ」


185月

【参加記あり】「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第13回「『宗教的なもの』から広がるもうひとつのグローバル・スタディーズ」

5月5月 18 2021 14:55 - 16:40

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グローバル地域研究機構(IAGS)GSI

日時:   2021年5月18日(火)14:55-16:40

場所:   Zoom Webinar

スピーカー:       伊達 聖伸
大学院総合文化研究科地域文化研究専攻・准教授

 

タイトル:          「『宗教的なもの』から広がるもうひとつのグローバル・スタディーズ」

 

要旨: 今日の世界において宗教はグローバルな広がりを持つと言えば、政治的には世俗的な近代主権国家を相対化するものとして、経済的には新自由主義的な資本主義とは異なるヴィジョンを提示しうる契機として、期待と同時に不安を人びとは抱くかもしれない。だが、そもそもそこで語られる「宗教」とは何なのだろうか。世界にはさまざまな「宗教」があると言われるが、それらを並べて語るような場面では何が前提とされているのだろうか。これまで自分が取り組んできた研究は、「宗教」と「世俗」の枠を再構成しつつ、「宗教的なもの」にアプローチしてきたとまとめることができる。その際、「世俗」の分析については、普遍主義的志向を持ちながら、特殊フランス的なものとも言われるライシテの逆説的な性格に注目してきた。ライシテは、世俗的な価値観でありながら、宗教性を帯びることもある。ライシテは、政治と宗教の構造的な関係を比較の観点から論じる切り口でもある。フランスと他のヨーロッパ諸国、北米のケベック、また日本と比較すると、何が見えてくるだろうか。自分の研究経歴に則して、また現在遂行中の共同研究の狙いも説明しながら、各地域の歴史的文脈と他地域とのネットワークを意識した、もうひとつのグローバル・スタディーズの可能性について考えてみたい。

 

司会:  馬路智仁(総合文化研究科 国際社会科学専攻)

討論者:田辺明生(総合文化研究科 超域文化科学専攻)

    國分功一郎(総合文化研究科 超域文化科学専攻)

 

言語:  日本語

「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ:これまでのセミナーはこちらのページをご覧ください。

 

【参加記】

 2021年5月18日、「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第13回が開催され、伊達聖伸氏(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授)が「『宗教的なもの』から広がるもうひとつのグローバル・スタディーズ」と題する報告を行った。伊達氏は、既存の学問編成を相対化する「もうひとつ」への愛着とともに展開されてきた自身の研究活動を振り返ることを通じて、「もうひとつのグローバル・スタディーズ」の可能性を模索する、という趣旨の報告を行った。

 

 伊達氏はまず、宗教間の比較を主要な方法とする宗教学において、そのように「宗教を並べて語る」枠組みそのものを問い直しながら宗教のグローバル・ヒストリーを考えるという研究姿勢が、自身にとっての「グローバル・スタディーズ」の端緒をなすものであったと振り返った。このように宗教学の学問的立脚点を批判的に問い直そうとする伊達氏の研究活動は、「『宗教』と『世俗』の枠組みを再構成しつつ『宗教的なもの』にアプローチすること」として総括される。これはいわば「世俗の宗教学」をなすことであり、その第一の成果となったのが、氏が2007年にリール第三大学に提出した博士論文「ライックな道徳に映し出される19世紀フランスの宗教史」(« L’histoire religieuse au miroir de la morale laïque au XIXe siècle en France »)である。この論文で氏が試みたのは、19世紀フランスにおける道徳教育と宗教研究のライシテ化の同時進行を再構成することによって、「世俗」との関係を通じた「もうひとつの宗教史」を描くことであった。

 

 その後伊達氏は、研究領域を現代フランスやケベックへと拡げ、また日本もフィールドとしながら、これらの地域の「あいだ」に身を置きつつ「ライシテ」という西洋的な理念の問い直しを図ってきた。この研究経験を踏まえ、伊達氏は「グローバル・スタディーズ」をめぐって三つの提言を行った。第一に、ある種の紋切り型となった「グローバル」という規範を疑いつつ「もうひとつのグローバル」のあり方を模索すること。第二に、歴史的な諸矛盾が集積する「核心現場」(白永瑞)の経験に新たな普遍の可能性を見出すこと。第三に、複数の差別構造の交差性が明らかになり、マジョリティとマイノリティの分断が進む現代において、それぞれの立場を批判的に再構成したうえで肯定できるような「インターセクショナルなヒューマニティー」を手がかりに議論すること、の三つである。氏によるこれらの提言は、「もうひとつのグローバル・スタディーズ」を模索すると同時に、複数形の「さまざまなグローバル・スタディーズ」を模索するものであると言えるだろう。

 

 伊達氏の報告に対し、討論者の田辺明生氏(超域文化科学専攻)により、「宗教的なもの」を「宗教/世俗」という概念的な二分法に先立つそれ自体の位相において捉えることができないか、という重要な問題提起がなされた。これに対し伊達氏は、非言説的な実践の重要性を認めつつも、言説のレベルから出発して宗教と非宗教の関係を問うことの理論的有効性を強調した。國分功一郎氏(超域文化科学専攻)は、1989年のスカーフ事件に際してのドゥルーズのテクストに即しての質問を行い、伊達氏とのあいだで議論を深めた。平日の開催であったにもかかわらず100名以上の方が参加した本セミナーは、盛況のうちに閉会した。

【報告:緒方乃亜(東京大学総合文化研究科修士課程)】

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