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【参加記あり】「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第8回「哲学の希望――世界哲学から」


1512月

【参加記あり】「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第8回「哲学の希望――世界哲学から」

12月12月 15 2020 14:55 - 16:30

彰化孔子廟大成殿

グローバル地域研究機構(IAGS)GSI

日時:   2020年12月15日(火)14:55-16:40

場所:   Zoom Webinar

スピーカー:       中島  隆博
東京大学東洋文化研究所教授

 

タイトル:          「哲学の希望――世界哲学から」

 

要旨:世界哲学という新しい運動から自分のこれまでの研究を振り返ると、1)地域哲学としての中国哲学研究、2)19世紀的な学知に由来する比較哲学研究、3)在来もしくは土着の理論を核にしながらも普遍化に寄与する世界哲学という、三つのフェーズに区分できるかと思います。1)では、オリエンタリズム的な視線を内面化した中国哲学研究をどう脱構築するかを主として考えてきました。2)では、比較をすることで安心するのではなく、逆に、複数の概念を揺り動かして、そのあらたな可能性を開こうとしてきました。そのために、概念が旅をしてきたその軌跡を辿ることが重要な視点になったのです。そして、3)では、「グローバル」という全体化するようなアプローチではなく、世界という地平概念を鍛え直し、もう一度普遍的であることの意味を考え直そうとしました。

その上で、もう一度「哲学」を問い直してみたいと考えています。それはphilosophyに訳し直すこともできるでしょうが、別の可能性、とりわけ「希哲学」という翻訳に込められた「希望」に繋がる可能性を考えてみたいのです。

 

司会:  田辺明生(総合文化研究科 超域文化科学専攻)

討論者:伊達聖伸(総合文化研究科 地域文化研究専攻)

              國分功一郎(総合文化研究科 超域文化科学専攻)

言語:   日本語

問い合わせ先:  グローバル・スタディーズ・イニシアティヴ(GSI)事務局(contact@gsi.c.u-tokyo.ac.jp

「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ:これまでのセミナーはこちらのページをご覧ください。

 

【参加記】

 2020年12月15日にグローバル・スタディーズ・セミナー「グローバル・スタディーズの課題」シリーズ第8回が開催され、中島隆博氏(東京大学東洋文化研究所教授)が「哲学の希望――世界哲学から」と題する講演を行った。中島氏は、「世界哲学」が既存の「哲学」の概念を脱構築する手段であるとし、「哲学」が「希望」に繋がる可能性を主張した。

 

 中島氏はまず、自身の研究変遷を三段階に分けて説明した。第一段階では「中国なき中国研究」からの脱却を唱えた溝口雄三氏がいた文学部中国哲学研究室にて、中国哲学の西洋哲学主体からの脱構築を志向したという。続いて第二段階では比較哲学研究に足を踏み入れたが、比較をしただけで満足してしまい、視野を固めてしまうことに疑問を抱いたという。このことが、概念自体がどのように旅をしてきたか、その軌跡に注目する契機となった。こうして現在の第三段階では「世界哲学」に取り組んでいる。ここで語られる「世界哲学」とは世界の哲学の集合体、世界的な哲学という意味ではなく、土着的なものを基に普遍を探すという意味を持っている。

 

 さらに中島氏は、philosophyの訳語に多数の候補があったことを指摘し、その中の一つ「希哲学」に注目するべきと主張した。宋学の延長上で考案されたこの訳語は、「何ができるか」ではなく「何を望むか」に重きが置かれている。中島氏は再度「哲学」を反訳することで西洋哲学主体のphilosophyを揺さぶり、「世界哲学」によって鈍い明るさ、希望を取り戻すことを模索しているという。

 

 討論者の伊達聖伸氏からは➀世界哲学での比較の実践について、➁世界哲学が可能となる条件とは何か、③絶望と隣り合わせの今、中島氏が持っている希望に関して質問が寄せられた。中島氏はこれに対し、➀比較できないものを比較することで世界の複数性に直面する機会が生まれるということ、➁比較できないものを比較しても叱られない空間と、哲学が西洋のものという制度の撤廃が必要であること、③今の世の中における絶望の深さは計り知れないがそれ故歩き続ける必要があり、歩く人が増えると希望が道のように現れるだろう、と述べた。

 

 同じく討論者の國分功一郎氏からは➀比較は19世紀的であるが双方の共通性を考える手段でもあり、新しい意味も持つのではないか、➁ギリシアで生まれたphilosophiaという語は19世紀の西欧でも理解及び翻訳不可能であったことからも固有名詞ではないか、③普遍化から固有性を取り直し新たな21世紀の哲学を作れないか、との指摘が寄せられた。司会の田辺明生氏は、世界を考える際に人間主体にとっての意味の場という意味に限定せず、それ自体の潜在性をもつ地球という広い視点を持つ必要がある、と指摘した。また、デリダの「中国に哲学はない」という発言に関する議論も交わされた。

 

 この他にもフロアから様々な質問が寄せられた。従来の哲学が持っていた枠組み自体を揺さぶり「希望」に繋げるという壮大な中島氏の取り組みに圧倒された105分であった。

【報告:山崎香織(東京大学総合文化研究科修士課程)】

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